ニューヨーク、マンハッタンでの白内障手術について

白内障は、高年齢になって手術をするものだと思っていました。

糖尿病になってからいろいろな定期的検査を行っていますが、去年の目の定期健診時に引っかかってしまいました。

最近目が急激に悪くなった感じで乱視と近視のような見えない感じがしていました。何年か前から遠くのものは、だいたい見えるのですが、コンピューターを見る時に左目だけ字が二重に見えて、両目で見ていても違和感が有り、化粧をするは顔の左側が見にくいと感じていました。もっと困ったのは、部屋の明かりを消すと全く見えなくなってしまって、しばらくじっとしていないとならない状態でした。

診察結果

今年の検査で、医師から、「普段は両目で見ているから、左目の見えづらさを右目でカバーしているんですよ。だから目が疲れるでしょう。実際、左目はかなり白内障が進行しているから、いつか手術をしないと。いつ手術をするかは、あなた次第です」と言われました。

いつか一度手術しなくちゃいけないのなら、信頼する医師と病院でやってもらおうと思いました。同じ手術をした友人たちからも術後は本当によく見えるようになると勧められ、勇気をもらいました。

米国での白内障手術は、一般の手術と同じように1ヶ月前に内科医の健康診断を受けます。今までの病気や手術などの確認、現在の体調、心臓検査、血液検査やアレルギーなど、細かい検査報告書を作ってもらって病院に提出します。

その後、目の水晶体のサイズを測って、レンズのオーダーをします。その時に焦点を近くにするか遠くにするか聞かれました。遠近両方用は、鮮明度にかけるのでお勧めしないと言われて、好きなサングラスを使いたいので、“遠くがはっきり見える方”に決めました。近眼用の眼鏡は、市販のもので十分だから心配ないとも言われました。

手術当日

まず、悪い方の左目から手術、その後2週間後に右目の手術に予約をしました。手術の3日前から処方箋の目薬、1日3回をさし始めて、手術前日は、アルコール禁止、夜中からは食事なし、水分はお茶、紅茶、コーヒーは手術の3時間前までOK、ただし牛乳などの乳製品は禁止と、たくさん注意書きが書かれた紙をもらいました。

手術当日は、多くの人が同じ手術を待っていました。米国の病院らしいのは、手術用のガウンに着替えて、何度も名前とお誕生日と患者番号、何の手術か聞かれ、確認後に間違えがないように目の横に×の印をつけられました。

血圧計、心臓検査計、心拍計、それに麻酔用の静脈注射、万全のためだと思うのですが、なんだか大げさな気がします。

実際の手術時間は20分ぐらいでした。座っている椅子のまま手術室に行き、椅子が手術台になり、手術が終わると椅子になります。

局部麻酔なので、終わってからはジュースと甘いクラッカーをくれました。夜中からお昼まで何も食べていなかったのでとても美味しく感じました。

術後の経過

「翌日、改めて経過確認するので眼帯外すまでシャワーはダメですよ。顔は拭くだけね。1週間は寝る時に目のカバーをはめてください。目の周りの化粧はしないで。目にシャワーが当たらないように注意してね。2週間ぐらいは重い荷物は持たないように。下を長いこと見ないで…」などなど、細かな注意や指示を看護師さんから受けました。

手術後は、目薬3種類を何度も使います。多い日は9回。両目の目薬をする時は、1日に12回で、どちらに何回使ったかメモしないと判らなくなるほどで、少しずつ量が少なくなるのですが、ともかく目薬をさしたら2分間目をつむって、次の目薬は5分以上時間を空けて…、てな具合に間違えないように目薬をさすのが大変でした。間違えないように目薬カレンダーを作ったのですがこれは大正解でした。

手術の翌日、眼のカバー越しに見える空気の色が違うのに気が付きました。カバーを外したら本当に良く見えます。今まで見ていた世の中は、もっと黄ばんでいてぼんやりしていました。テレビの色も白は実際は青みがかった白でしたし、窓の外は明るく、隣のビルのレンガがはっきり見えます。処方箋の目薬が透明だと思っていたら黄色だったのにもびっくりです。目に入るものは、脳が勝手判断していたのだろうと思います。左目は全く違う色とはっきり見えていて、右目の手術前2週間は、両目の見え方の違いのギャップで不思議な感じでした。

術後目がよくなって気づいたこと

手術後、遠くのものが本当によく見えるようになってよかったのですが、目がよく見えるようになって困ったのは、コンピューターや近くの資料を見るときに眼鏡をかけなくてはならずてとても疲れます。今はコンピューターの画面をかなり暗くしていますし、外ではサングラスが必需品です。うっかり部屋の明かりを強くすると頭をガツンと叩かれたようですし、直射日光は本当に苦痛です。

他にも、改めて気が付くことがたくさんあります。たとえば、バス停で遠くのバスの系統番号が見える、マーケットで商品価格が目に入る、空の青さが違う、雲の色も鮮やか…、などです。さらに、前回買った微妙な色のスラックスが茶色がかっていると信じていましたが違っていたことにも驚きました。本を読むために買った眼鏡に色がついているのに気がついたのにも衝撃でした。

さらにもう一つとても驚いたことがあります。それは、なんとなくぼんやりと感じるぐらいしか判らなかった自分の目の脇の顔部分が視界に入っていることに気づいたことです。その影が見えてハッとすることが多くなりました。

目が慣れてくるのには1カ月はかかると言われました。

術前見ていた絵画や現代美術はきっと間違った印象だった思います。術後、改めてもう一度いろいろ見てみようと思っています。1ヶ月後に目の検診がありますので、その後にメトロポリタン美術館へ行くつもりです。もしかしたらゴッホやモネ、ピカソの色は、違って記憶しているのかもしれませんし、アールデコの陶器類も微妙な色なので今からとても楽しみです。