世界中で感染が止まらない状況をニューヨークから見ていますが、ここマンハッタンでは、7月初めから やっと街の様子が、前の状態に戻っていくように感じました。人混みも増え車の渋滞も増えてきました。
クラクションの音はこの1年半聞くこともあまりありませんでしたが、それも戻ってきました。「あぁ〜、うるさいな~」と感じる反面、なんだかホッとする私がいます。
これまでは、感染防止対策で仕方がなく車道まではみ出していたレストランやバーのテーブルは、ちょっと気軽に軽食をするホッとした場所に変わり、週末には、大人数のグループがワイワイと子供を含めて食事するのも見るようになりました。こうした雑踏もなんだかよいものだと感じています。マスクを外して散歩、住んでいるビルではマスクなしでランドリーに行けます。
しかし、米国全体を見ると、感染拡大中のパンデミックです。ニューヨークなどの大都市を有する州の感染が静まり、今度はその他の州で、感染拡大がひどくなってきています。ニューヨークやカリフォルニア、ボストン、シカゴなど大都市のある州から多くの感染者が出て、恐ろしいほど早い広がりを見せていた時、感染拡大は都会の外国人のせいだと騒いだり、感染は限定的だ、ワクチンは信じない、感染はインフルエンザ程度と共和党議員たちが言い、トランプ大統領も「自分を見ろ。心配はない」と主張し、そういった意見を支持していた州の住民が、今、犠牲になっています。
テレビでは、「専門家の意見を聞こう! 医学を信じよう!」と宣伝していますが、米国中を見ると感染が増えるばかりです。予防接種に積極的な地域では、感染のおさまりが見られ、接種に批判的な地域では感染拡大が起きています。
こうした状況でも、人の移動に制限ができないので、今週からは、ニューヨークでもマスクをできるだけするように、特に建物の中ではマスクをしてくださいとテレビで盛んに言っています。確かに外でマスクをする人が増えましたし、エレベーターでは、マスクを自主的にする人を多く見かけます。
私は、過去にインフルエンザでひどい目に遭ったことがあります。年末の休暇中に寝込み、「もっと気を付けていたらよかった」と寝込んで思っても手遅れでした。今は予防接種をしたり、体調を考えたりしていますのは、忍び寄る癌やその他の病気も含めて、自分の体調を過信したり、知らないうちに病気になることが起きると実感し、早期診察や健康診断をしています。
ワクチンがなく、接種したくてもできない国がある反面、ワクチンが十分にあるのに打たない人たち、米国ニュースでは、ワクチンを打たないのは、自由な考えとして報道されていますが、その中には、まったく根も葉もないバカバカしい理由もあり、根拠のない理由もあります。
米国人は「自由」という言葉が好きです。基本的には、本人の意思で決め、強制はできないと、以前も書きました。その通りなのですが、街を歩いていて、接種したのに今も感染するかもしれないと怯えて気を使って行動する人たちと 接種に反対し普段の生活も変えず、マスクもしない人たちの、その両方がすぐ近くにいます。
米国で接種する人としない人を差別してはいけないと、多くの人が言います。米国では予防接種をしなければ渡航Visaが取れない時期がありました。差別ではなく、感染の可能性は本人も周りも同様ですが、現状況では接種をしていない人の重症化が明らかです。
今のマンハッタンでは、美術館や博物館、映画館など入場制限をして密にならないようにするための安全対策をして開館しています。以前紹介したように6月には、ある大規模な音楽コンサートで、チケット購入しても接種完了を示す証明がなければ、会場に入れないことが記事になりました。参加ミュージシャンがインタビューでファンに「できるだけ安全対策をしてみてほしい」と言いました。
だいぶ前ですが、あるミュージシャンは、観客だけでなく演奏家も大きな透明な風船の中に入れてコンサートをして話題になりました。去年の夏は、それぞれが間隔を空けるよう、円を書いてその中で日光浴をしていました。
観光地ハワイでは、入島する際にはワクチン接種の証明が必要などの処置がとられています。秋から本格的に開演するブロードウェイのショーは、出演者、劇場関係者全員の接種が必須、そして観客には“接種証明書が必要”としました。そして、オペラ、バレー、コンサートホールのあるリンカンセンターでも、観客はチケットと接種証明、それと接種のできない年齢の子供は、観劇できないと決めました。これは、それぞれの劇場労働組合や海外出身の出演者の健康安全第一で、万が一感染すれば、すべての公演中止になる恐れがあるからです。特に長いオペラシーズンでは、冬場の公演が中止になれば大問題です。
こうした動きは、州外からの観光者に対して接種した証明を持ち歩くこと、外国からの観光客には接種を勧めニューヨークで感染拡大がまた起きないようにすることで、接種していないと観光に制限が起きます。
ニューヨーク州では3月から州独自の接種カードを作りました。初めは2回の接種の確認のためだけだったのですが、新しい接種カードには、接種をした日時、ワクチンの種類、そしてそのワクチンのロット番号が記載されていて、3度目のワクチン接種が起きた時には、記憶に頼らなくてもよいわけです(私は今は両方携帯に入れて必要であればすぐ提示出来る様にしていますが まだ提示を求められたことはありません)。
今後レストラン、バーでも接種証明の確認を義務づける発表がありました。接種をするかしないかは本人の自由だけども、他人の生活を妨げてはいけない。レストランやバーで働く人も感染する可能性があるのだから、接種した証明書を提示すのは当たり前だとの考えのようです。
客の接種確認して、その確認を怠った場合は、レストランやバーが罰金を支払うことになります。以前から、お酒の提供や購入には、年齢証明書を確認する義務があり、これを怠った場合と同様になります。
レストランやバーでマスクを外し、食事をしながら会話をするのは楽しいことですが、隣のテーブルの人が自分と同じく接種しているかどうか気になります。サーブする側もされる側も感染リスクをいつも考えます。日本でも、居酒屋の感染対策を強化し、お店の感染対策を問われますが、どんなに除菌をしてもお客が持ち込む感染は、防げません。
マンハッタンでは、去年、宅配人をビルに入れない徹底ぶりでした。今の日本では、ただただ息をひそめているしか方法がないかもしれません。
ニューヨークでの、1年半の間、多くのレストランやバーが閉店しました。閉店した店舗はまだ空き店舗です。開店していて感染違反で罰金や営業停止など多くの問題がありました。今やっと感染が減り、ワクチン接種だけが感染を防ぐ方法だと感じます。この方法も完全ではありませんが、今できる感染死亡を防ぐ方法として接種が必要だと思う人がいますし、3回目のワクチン接種の医学的根拠と時期について興味がある人が多くいます。
ニューヨークの接種証明確認は、苦肉の策ですが、すでにスポーツジムでは、接種証明と身分証明書が必要になったと友人が言います。ワクチン接種をして感染したくない人達は、新たな感染拡大防止策に前向きです。
このようにマンハッタンの感染対策を徹底することは、観光、演劇、芸術の分野や多くの経済の後押しになると信じたいです。そして、これは経済立て直しの初めになります。
米国の深刻な問題は、日本でもすでに報道されていますが、米国で「接種はしない」、「普段の生活は変えない」と声を上げていた人たちが、今パンデミックの中にいます。都会から離れて密にならない田舎で、教会や親族パーティー、学校など集まる場所で感染が増えています。もちろんレストランやバーも通常通り運営していた州は、今医療崩壊の危機にいます。もう一つ、東京で開催のオリンピックに現地まで応援に行けないアメリカ選手団の親族が実況中継見ながら、集まって大声で観戦、応援をしていました。これを見て、オリンピック開催が感染拡大につながっているのは、日本だけじゃなく、もしかしたらどこの国でも起きているのではないかと感じていました。
感染は、また起きうることです。代表的なものとしてエボラですが、それ以外にも多くの感染症の予防薬や特効薬が開発されていません。日本は地震大国で地震は、また起きます。米国の竜巻も同じで止めることは出来ません。でも、過去のデーターを分析し対策を考えることはできます。現に今回のコロナワクチンも何十年ものデーターの解析で得た資料が基になっているということです。日本の地震予測はどの国よりも優れていると何かで読んだ覚えがあります。
今の世の中、コンピューターを使い多くの学術的資料を探せるのですから、多くの予備知識を蓄え、世界中から学んで、うわさやデマなどに惑わされないよう行動してほしいと思います。最後に自分で決断をして行動を取るのは災害の時と同じだと考えます。
資料です。NY州でワクチンパス 携帯アプリで表示、全米初―新型コロナの日本での記事です。